ツツジとケヤキの町

 私が住んでいる市の花と木はタイトルのとおり、ツツジとケヤキなんだそうな。まるで他人事のような言い方になってしまうのは自治体のシンボルとしてはありふれていて、あまり愛着がわかないせいだろうか。それとも、この町に移り住んでからまだ年月が浅いからだろうか(それでも、もう20年以上経っていることに驚き!)

 ツツジといえば、私が卒業した小学校は「つつじが丘」という学校名そのままの町にあったし、ツツジには何かと縁がありそうな気もする。Kリハビリ病院に入院中は言語聴覚士のSさんに車いすを押してもらって、敷地内を散歩するのが唯一の楽しみで、桜にツツジ、紫陽花など、季節の移ろいを楽しみつつ、入院の日々を過ごせたことは何よりの癒しになった。

 この町に来て、初めて手賀沼のほとりを散策したころは、日本一汚い湖沼の名のとおり、生活排水の流入など、見るも無残な姿だったけれども、そのころから水質改善の取り組みも少しずつ実を結びはじめたようで、今ではずいぶんきれいになったように思う。

 それでも地元で生まれ育った人たちにとっては、かって「北の鎌倉」と呼ばれるほどに美しい別荘地で、白樺派の文人たちが好んで移り住み、正月には氷の張った手賀沼で富士山を眺めながらスケートに興じたという、その誇らしい記憶からはほど遠いものなのかもしれない。

 それはともかく、Kリハビリ病院での散歩は途中、西門?を出たあたりから手賀沼を眺めるのがとても好きだった。そこから手賀沼までは2,300mほどの距離があって、そのあいだの田んぼには白鳥だかサギだかもいるのだけれど、よほど人に慣れているのか、遊歩道を行く人と近づいても殊更に警戒したり、逃げたりする様子は見られない。

 手賀沼周辺には、他にもいろんな水鳥がいて、オオバンもその一つ。ずんぐりむっくりした愛嬌ある姿にすっかり魅了されてしまったのだけど、じつは市の鳥にもなっているらしい。手賀沼のアイドルだったのだ。そんなわけで、鳥のことなんて何も知らないのだけれど、勝手にブログタイトルに名前を拝借してしまった。

 対岸には桟橋があって、たくさんのボートが係留されているようだ。まれにヨットも見かける。ぼんやり眺めていると、落ち着いた心持ちになって、似ても似つかないのはわかっていても、ランサムサーガの舞台となったイングランド北部の湖水地方を妄想してしまう(手賀沼は手賀沼で素敵な場所ではあるけどね)。そういえば、ランサムサーガにもオオバンクラブなるものが出てきたっけ…と、最後にバレバレな種明かしをして締めておこう。

(写真はオオバン。Eveline de Bruinによる。Pixabayから)

(2020.8.26公開)


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