ラグビー現有戦力

  昨年はファンのあいだで史上最高のリクルーティングといわれたが、今年の新入生も少数精鋭ながら将来有望な選手は少なくない。「今年こそは荒ぶるを聞きたい」と願うOBOGも少なくはあるまい。そこで今回はポジション別に現有戦力を見ておこう。なお、()内は学年および出身校、代表歴。「候補」とあるのは高校日本代表候補。OBは所属チーム。

 まずはフロントロー。昨シーズン、学生最強といわれた布陣からサトケンこと佐藤健次主将(現埼玉WK)、亀山昇太郎くん(現GR東葛)という二人の主力が抜けた穴は大きいが、それを埋める人材も豊富だ。ルースヘッドには昨年の最強フロントローでキーマン的な存在だった杉本安伊朗くん(3、國學院久我山、U23)と、山口湧太郎くん(4、桐蔭学園)が残った。山口くんは1年時に対抗戦デビューすると、2年時からはずっとAチームを支えつづけて来た、経験豊富な選手だ。

 一方、亀山くんが抜けたタイトヘッドには新井瑛大(3、大阪桐蔭、候補)くんが昨年から残り、進境著しい前田麟太朗(2、桐蔭学園、高校)くんも台頭してきた。新戦力では花園で暴れまわった巨漢プロップの平山風希(1、大分東明、高校)くんの存在も見逃せない。

 佐藤主将が抜けたフッカーにはU23日本代表のキャプテンを務めた清水健伸くん(3、國學院久我山、U23)がいる。1年時に対抗戦デビューを果たし、以来、Aチームでは佐藤くんの影に隠れてはいたものの、しばしば実力の片鱗も見せてきた。いよいよ、本格的に暴れる時がやって来た。新戦力では桐蔭学園の連覇に貢献し、高校日本代表にも選ばれた石原遼くん(1、桐蔭学園、高校)も注目の一人だ。

 フロントローでは、他にも勝矢紘史くん(4、長崎北陽台)や田中健心くん(2、桐蔭学園、候補)らも虎視眈々と出場機会をうかがう。花園を戦った、谷本幹太くん(1、桐蔭学園)や野村怜央くん(1、報徳学園)といったルーキーたちがどこまで通用するのかにも注視したい。

 つづいて、体格的に小柄な選手が多く、高さ・重さの面で苦戦を強いられてきたセカンドローを見ていこう。2年時にはウィングで対抗戦にも出ていた、快速ロックの西浦剛臣くんが抜けたものの、力強い前進力が自慢の栗田文介くん(4、千種、U20)は健在だ。早稲田では比較的長身の小林光晴くん(2、福岡、候補)や小松輝也くん(3、常翔啓光学園、候補)の成長も頼もしい。新戦力では久しぶりに190cmを超える長身ロックの宮川侑大くん(1、砺波、U17)にも期待がかかる。その他ユニークなところでは高校時代は柔道部だったという久我真之介くん(2、早稲田実業)もおもしろい存在だ。

 機動力を武器とする早稲田の要とされるのがバックローだ。しかし、昨年は怪我人が多く、松沼寛治くん(3、東海大学付属大阪仰星、高校)や粟飯原謙くん(4、桐蔭学園)が次々に戦線を離脱すると、アナリストとして入部したという、異色の経歴をもつ鈴木風詩くんがナンバーエイトを務めた。その鈴木くんが抜けた穴は、昨年はフランカーとして出場することが多く、比較的大柄でパワフルながらも、地味で献身的なプレイが光った城央祐くん(2、桐蔭学園、高校)がしっかり担っている。粟飯原くんもすでに戻っているとはいえ、松沼くんの復帰も待たれるところだ。

 フランカー陣を牽引するのは小柄ながらも、かつての石塚武生さんを彷彿させる、激しくも執拗なタックルが持ち味の田中勇成副将(4、早稲田実業)だ。新戦力では駒井良くん(1、東海大学付属大阪仰星、U17)への期待も大きい。他にも萩原武大くん(4、茗溪学園)や、米倉翔くん(3、修猷館)、野島信太郎くん(3、東海大学付属大阪仰星)、多田陽道くん(2、早稲田実業)らが臙脂を目指して切磋琢磨している。伝統のアタックルを起点とした連続攻撃で、今年こそは「荒ぶる」を掴み取りたい。

 次はハーフバックを見てみよう。

 昨年、彗星のごとく現れ、本城和彦さんの再来かとも騒がれた服部亮太くん(2、佐賀工業、高校)を脇で支えていたのが二人のスクラムハーフ、細矢聖樹くん(現静岡BR)と宮尾昌典くん(現東京SG)だ。守りの要だった細矢くん、天才肌の宮尾くんたちが抜けた穴は非常に大きいが、現状では糸瀬真周くん(4、修猷館)が無難に穴を埋めているようだ。他にも平塚英一朗くん(3、早稲田実業)や、今年からスクラムハーフに転向した大賀雅仁くん(3、桐蔭学園)、桐蔭優勝メンバーの渡邊晃樹くん(2、桐蔭学園、候補)らが糸瀬くんの背中を追いかける。新戦力では、花園を大いに湧かせた川端隆馬くん(1、大阪桐蔭、高校)にも注目だ。

 フライハーフは今年もキックに、ランに、服部くんの活躍が見られそうだ。仲山倫平くん(4、ウェリントン)や田中大斗くん(2、早稲田実業)らも虎視眈々と10番の座をうかがっている。

 フライハーフの服部くんと、ダブル司令塔的な役割を担うインサイド・センターには野中健吾主将(4、東海大学付属大阪仰星、U23)や、うまくて激しい、万能プレイヤーの黒川和音くん(4、茗溪学園、候補)が入るだろう。堅実なプレーに定評のある森田倫太朗くん(3、報徳学園)や、服部くんと同期の島田隼成くん(2、修猷館、候補)、菊川迪くん(2、報徳学園、候補)にも注目したい。速さと強さを求められるアウトサイド・センターには、今年も福島秀法くん(4、修猷館、U23)や金子礼人くん(3、西南学院)が健在だが、190cmを超える大型センター平野仁くん(2、法政大学第二、候補)にも大きな期待が寄せられている。新戦力では、名取凛之輔くん(1、大阪桐蔭、U17)や松本桂太くん(1、桐蔭学園、候補)、山口滉太郎くん(1、早稲田実業、U19)にも期待がかかる。プロップとともに、もっとも激しいポジション争いが繰り広げられている。

 ウィングには、日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチから「日本のコルビ(南アフリカ代表)にもなれる」と絶賛された田中健想くん(2、桐蔭学園、U23)や池本晴人くん(3、早稲田実業)がいて、この春季大会では西浦岳優くん(2、東福岡、候補)も気を吐いている。同じポジションには、髙栁壮史くん(4、早大学院)や鈴木寛大くん(3、倉敷)、山下恵士朗くん(2、早稲田佐賀)など、多士済々で競争も熾烈だ。

 フルバックには、日本代表の若き顔になりつつある矢崎由高くん(3、桐蔭学園、日本)に加え、植木太一くん(2、関東学院六浦)も控えている。二人が不在の時には池本くんや高柳くんらがカバーするだろう。新戦力では、昨年の花園開会式で「この世界に夢と希望を与えたい」と選手宣誓して話題になった小野晏瑚くん(1、城東、U17)もいるから、楽しみだ。

 春季大会はここまで三戦全勝で、練習試合も含めて全カテゴリー負けなしで来ている。有望な選手も多く、今年も大いに期待できそうだ。





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