2025年度の駅伝戦力
昨年12月22日、第75回男子全国高校駅伝、いわゆる都大路の終了後、早稲田大学競走部は2025年度の推薦合格者を公表して、大きな話題を呼んだ。そこには、この日一区を日本人最高タイムで走って、区間賞を獲得した鈴木琉胤(八千代松陰)くんと、三区区間賞の佐々木哲(佐久長聖)くんの名前があったからだ。二人は明けて、1月19日に開催された都道府県対抗駅伝(天皇盃 第30回 全国都道府県対抗男子駅伝)でも、五区をともに区間新のタイムで走って、佐々木くんは区間賞で長野の四連覇に大きく貢献し、鈴木くんは区間二位となる14人抜きの快走で千葉を準優勝に押し上げた。スーパールーキー二人が早稲田に加わるというニュースもあって、今年の箱根を制した青学の原監督をして「来年の早稲田は強いね」といわしめ、大学駅伝界隈では「今年の三強(青学、駒沢、国学院)から、来年は(快速ランナーをズラリと揃える中央も含めた)五強になる」との展望も聞かれるほど、早稲田への注目は高まっている。花田監督以下、競走部のみんなも来年の目標に「総合優勝」を見据えはじめているようだ。そこで、渡辺(康幸)くんの再来という声すら聞かれる鈴木くんに加え、都大路、都道府県と大レースで立て続けに強さを見せつけた佐々木くんも加わって、いやが上にも期待の高まる、新チームの布陣を見ていきたい。
まずは新四年生から。いわゆる「推薦組」といわれるのが、新駅伝主将の山口智規(学法石川)くん、間瀬田純平(鳥栖工業)くん、須山向陽(鹿児島城西)くんの三人だ。一般組では、ブログ主がイチオシの宮岡凜太(鎌倉学園)くん、藤本進次郎(清風)くん、伊藤幸太郎(春日部)くんの三人がもっとも箱根に近いポジションにいると見ていいだろう。
山口智くんは今年の箱根こそ、二区区間12位と振るわなかったが、昨年の箱根では二区区間4位の好走を見せ、大迫傑くんが持っていたハーフの早稲田記録をも塗り替え、部内では唯一10000m27分台のタイムを持つ、押しも押されもしない早稲田のエースだ。間瀬田くんは三年連続で箱根の一区を走って、今年は区間4位と好走した。1500mを得意とするだけに、スローペースのレースでは切れ味鋭い末脚が大いに活きてくる。イチオシの宮岡くんは一般組ながらも、二年時にはハーフで64分台、63分台と箱根の距離で適正をあらわしはじめ、昨年の上尾では62分台、先日の学生ハーフでは61分台で走って、着実に成長している様子を印象づけた。箱根の距離なら、安心して送り出せそうだ。すでに箱根を(何なら往路でも)走りきるだけの実力をつけているのではないか。来年こそは箱根で快走するところを見たいものだ。藤本くんは昨年の出雲、全日本と走って、出雲では区間7位と力のあるところを見せた。伊藤くんもハーフ63分台のタイムを持つだけに一層の飛躍を期待したい。
つづいて新三年生。推薦組は、工藤慎作(八千代松陰)くん、山﨑一吹(学法石川)くん、長屋匡起(佐久長聖)くんの三人。
先日の学生ハーフを学生歴代2位の記録(早稲田新記録)で制した、山の名探偵こと工藤くんはいまや「早稲田の名探偵」に昇格して、山口智くんとともに早稲田の二枚看板ともいえる存在になった。早稲田としては、彼が山にいるうちに、何としても箱根で総合優勝したいところだ。山崎くんも今年の箱根六区で区間5位の快走を見せて、早稲田の、もう一つの「山」問題を解決した、いわば、彼もまた名探偵コンビの一人なのだ。彼ら二人がいるあいだは早稲田の山は盤石の布陣といっていいだろう。ロードに強い長屋くんの存在も頼もしい。箱根では早稲田新記録となるタイムで、区間8位の好走を見せた。現一年生の山口竣くんに加えて、四月からは佐々木くんも加わる。佐久長聖の強い後輩二人に負けないような走りを期待したい。
新二年生の推薦組は、山口竣平(佐久長聖)くん、瀬間元輔(東京農業大学第二)くん、立迫大徳(鹿児島城西)くんの三人だ。一般組では10000m28分台のタイムを持つ、吉倉ナヤブ直希(早稲田実業)くんがいる。
山口峻くんは先月の箱根では一年生ながら、いきなり往路の三区を任され、早稲田新記録で区間3位の結果を残して、まわりをあっと驚かせた。次年度には佐久長聖から佐々木くんという強い後輩もやってくる。二人で切磋琢磨して、早稲田を総合優勝に導いてほしい。瀬間くんは今年の箱根にはエントリーされるも、残念ながら走ることはできなかった。ロードには滅法強いともいわれるから、来年こそは箱根で爆走してほしい。立迫くんは高校時代、800mで活躍してきた中距離の選手だったが、大学では長距離を志しているという。高校時で5000m13分台のタイムを持つスピードランナーだけに、まずは出雲あたりに照準を絞って、駅伝デビューを目指してもいいかもしれない。吉倉くんは距離を踏んで、ハーフで実績を積みたいところだ。
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